バイトから帰ろうとバイクに跨り店の駐車場を出て右ウインカーを出しながら左右を確認していたら、
「チャリン」
と音がした。何か落としたかな、とバイクのエンジンをきり降りてみる。もしかしてバイト前にはずした指輪か、と焦ってポケットに手をつっこんでみると指輪は確かにある。じゃあなんだ?バイクのライトを点け、その辺りに目を凝らしてみるも何も無い。5分程うろうろしてみたが何も見つからないし心当たりもないので帰ることにした。
 翌日、その日は朝から出掛ける用事があったので人通りの少ない早朝に自転車を走らせていた。途中、昨日「チャリン」と音がしたバイト先の前に通りかかったら、そこには猫の死骸が落ちていた。始めは寝ているのかと思うほどだったが、よくよく見ると頭部が吹っ飛んでいて首から上は真っ赤であった。そしてその足にはボクの、ボクが持っているはずのキーホルダーが付いていた。